iWall構法Q&A


「iWall構法」とは、どんな工法ですか?



「iWall構法」は、潜熱蓄熱技術を応用した「パッシブソーラーハウス」工法です。高断熱・高気密で建物からの熱損失を減らすことは暖房エネルギー削減のための基本ですが、建物が取得する熱を有効に利用することによっても、暖房エネルギーを削減することができます。
 熱取得の最も大きな要因は日射ですが、太陽熱を積極的に暖房に利用するために計画するのがパッシブソーラーハウス「iWall構法」です。地域の気候特性や立地などの条件を勘案して、集熱、開口部性能、蓄熱性能の3つの要素を計画します。


「e−プラスター」はどんな商品ですか?



パッシブソーラーハウスに必要な蓄熱性能を高めるための蓄熱建材です。潜熱蓄熱材(PCM)を特殊技術でマイクロカプセル化して粉末に加工、これに石膏プラスターや添加剤を混合して粉末状の建材にした、世界初の蓄熱建材です。コンクリートの約5倍の蓄熱性能を持つ「e−プラスター」は15kgの袋詰めにして工事現場に納入します。


「e−プラスター」の施工方法を教えて下さい。



漆喰や珪藻土など、一般の既調合左官材料と施工方法は同じです。「e−プラスター」と水を混ぜ合わせペースト状にしてから室内の壁や天井に左官工法で塗り付け、乾燥したら施工完了となります。標準塗り厚は3〜4mmですが、12mm程度まで厚塗り施工することも可能です。


リフォームにも使用できますか?



新築工事だけでなく、リフォームなど改修工事にも容易に使用することができます。


「e−プラスター」にはどんな効果がありますか?



暖冷房エネルギーの削減はもとより、快適な住環境の実現(温度差のない住宅)、調湿効果により安定した湿度環境の維持が期待できます。「e−プラスター」は室内のオーバーヒート、オーバークールを防ぎ、冷暖房設備の負荷をピークシフト、ピークカットがすることが出来ます。また、壁全体で室温をキープすることが可能となり、放射暖冷房と同様の効果で快適な温湿度環境を維持することができます。


夏は暑くなり過ぎませんか?



蓄熱効果で室温の変動を抑制しますので、エアコンをつけなかった場合でも部屋の最高室温を1〜3℃抑制できます。また、冷房時には壁や天井に冷熱が蓄積されますので、就寝時にエアコンを切っても冷房効果が長く維持できます。夜間の冷涼な外気で壁体を冷却すれば、日中の冷房エネルギーも削減可能です。


「e−プラスター」はどのくらい施工する必要があるのですか?



床面積100㎡に対して100kgのPCMを施工すると効果的であることが、既往の研究で明らかになっています。塗り可能面積が250m2未満の住宅には「e−プラスター20」を35袋以上、250m2以上の住宅では「e−プラスター10」を50袋以上使用することを推奨しています。「e−プラスター」は内壁および天井に施工することが可能で、塗り面積が少ない場合は、塗り厚みで調整することもできます。


「e−プラスター」1袋(15kg)で何㎡塗ることが出来ますか?



「e−プラスター10」は、5〜6m2、「e−プラスター20」は7〜8m2です
(3〜4mm厚で施工の時)。


左官工事の施工要領は決められていますか?



iWall研究会の会員は、日本建築学会建築工事標準仕様書(JASS15 左官工事) 、建設省大臣官房庁営繕部制定建築工事共通仕様書(左官工事)に準拠した工事を実施して、工事品質を確保しています。


施工上の注意点はありますか?


「e−プラスター」にはマイクロカプセル化した潜熱蓄熱材が含まれているため、作業中は以下のような注意点を遵守しています。
  • 1)容器に水をとりe−プラスターを徐々に加えてペースト状にし、材料にせん断応力が
  •   かからないようにします。
  • 2)効果不良、白化、変色の可能性があるので、「e−プラスター」に他の材料を加えません。
  •   止むを得ず他の材料を添加する場合には、事前の施工確認を行い自己の責任範囲で施工を
  •   行います。
  • 3)ハンドミキサーでの撹拌時間は3分以内に抑えます。
  • 4)硬化後にコテで施工面のこすり作業は行いません。


暖房エネルギーの削減率はどの程度ですか?



パッシブソーラーハウスの暖房削減率は、一般的に20〜40%を目標に計画します。iWall工法の実証試験では、最もパッシブ効果が期待しにくい小樽市などの地域でも期間平均で20%、最大で57%程度のエネルギー削減が確認されています。実証住宅での測定結果は、HPの中で逐次ご紹介して行きます。室内気候研究所では、効果的なパッシブソーラーハウスの設計のために設計業務を受託しています。お気軽にご連絡下さい。


暖房エネルギーの削減率は保証されるのでしょうか?



ある程度の精度で予測は可能ですが、研究会としての保証はありません。パッシブソーラーハウスのエネルギー削減は蓄熱性能の確保のほかに、建設地の日射量、開口部の断熱レベル、空調設備の選択や運転方法によっても左右されます。現在、室内気候研究所、大学などの公的研究機関と施工業者様との間でエネルギー削減率の定量化に向けた共同研究が継続されております。


「e−プラスター」は市販されていますか?



「iWall研究会」に参加された工務店、ハウスメーカー、左官工事店、建築設計事務所の皆さんにだけ製品を供給しています。研究会への参加要項につきましては、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。


iWall構法の導入費用はどのくらいですか?



パッシブソーラーハウスの要求性能レベルによっても異なりますが、実績として70〜100(万円/棟)程度になります。ご計画中の建築に合わせてお見積を致しますので、お問い合わせフォームからご連絡下さい。


iWall研究会に入会したいのですが。



会則、入会要領をお送り致しますので、お問い合わせフォームからご連絡下さい。


会員資格ありますか?



会則に記載している内容を理解して頂ける企業(工務店、ハウスメーカー、左官工事店、建築設計事務所、建材商社)は入会できますが、地域ごとに限定した会員数で行うこととしております。会では『国のエネルギー削減推進事業への貢献』、『実践研究が出来る企業であること』、『共に研究開発を実施する』という点を重視しております。


会員以外には販売は行わないのですか?



行いません。


会員になると他の家の削減率も教えて頂けますか?



会員の開示情報区分は決まっておりません。会員総ての情報が集約される開発者の室内気候研究所のアドバイスと協力が得られる事が、会員のメリットです。個々の会員の努力結果には、それぞれの会員の負担で得られたものもあり、どの程度開示出来るかは検討中です(元北海道職業能力開発大学校 石戸谷教授の実験データーは会員に開示しております)。現状では効果計測の義務はございません。


販売代理店はどこですか?



北海道地域のiWall研究会会員には、富士川建材株式会社(札幌市)から製品を供給しています。他地域では現在、販売代理店を募集しておりますが、いずれの地域でも製品供給は可能です。


塗り壁に色をつけたいのですが?



顔料によっては白化現象が起きる可能性があります。顔料の適合性は実験的に確認する必要があり、室内気候研究所に相談と実験依頼ができます。また、左官工事終了後に塗料を塗布する方法もあります。


施工実績のある塗料はありますか?



水性の内装用塗料を施工し白化などの異常が起きないことを確認しております。一般に左官工事で使用できる塗料は使用可能です。


「e−プラスター」に何らかの不具合があった場合の補償はありますか?



「e−プラスター」の品質基準は会員に開示しており、品質基準に合致しない製品に対するメーカー補償はあります。代替え製品を無償供給致しますが、工事費の補償はありません。また、科学的知見により事前に予期出来ない事由による障害は補償外とさせて頂いております。


F☆☆☆☆は取得済みでしょうか?



「ホルムアルデヒドに係る関係告示」の対象外製品ですので、今のところ取得しておりません。ただし、施工後の環境調査を実施しており全ての対象現場で厚生労働省基準(100μg/m3)以下となっていることを確認しております。実験室での検討では、施工直後のホルムアルデヒド濃度は0,01ppmと環境基準値の0,08ppmを大きく下回っていることを確認しております。また、室内気候研究所では環境測定試験(有償)もお引き受けしています。


蓄熱材は人体に害がないでしょうか?



「e−プラスター」で使用している潜熱蓄熱材(PCM)はn-ヘプタデカン、n-オクタデカンで、いずれも発がん性、変異原生、経口毒性が確認されていない安全な物質です。国際規格(ISO)においても、TVOC規制の対象外となっています。


iWall工法の導入にあたって、技術指導は受けられるのでしょうか?



iWall研究会の会員は、工法の開発者である室内気候研究所の技術指導を受けることができます。お問い合せフォームからご連絡下さい。